【筋肉の生理学-全体像網羅版】-読む‐機能解剖学②
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筋膜リリースとIASTMの資格発行を行っている「日本IASTM協会」です
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それではお楽しみください♪
●イントロダクション
人体の「動き」は、筋肉の収縮によって、骨と骨を繋ぎ合わせた「関節」が動くことによって生まれます。
人の身体には、体重の約半分を占める約700個の名前の付いた筋肉が付着しています。
これらの筋肉はそれぞれ、骨格筋組織、血管、腱、神経で構成され、筋膜組織に包まれています。
筋肉組織は、心臓、消化器、血管の内部にも見られます。これらの臓器では、筋肉が物質を移動させる働きをします。
●筋肉の種類
筋肉組織には、内臓、心臓、骨格の3種類があります。
○内臓筋(平滑筋・不随意筋)
内臓筋は、胃、腸、血管などの臓器の内部にあります。
内臓筋はすべての筋肉組織の中で最も弱い収縮力を持っていることが特徴です。そして、内臓筋は、臓器を収縮させて物質を臓器内に移動させます。お腹がゴロゴロなったりするのは、この内臓筋の収縮によるものです。(蠕動ぜんどう運動)。内臓筋は無意識的な脳の自動制御によって動かされている為、不随意筋として知られています。意識的に直接制御することはできません。
「平滑筋」という用語は、顕微鏡で見ると非常に滑らかで均一な外観をしているため、内臓筋を表すためによく使用されます。
この滑らかな外観は、心臓や骨格筋の縞模様の外観とはまったく対照的な事が特徴です。
○心筋(横紋筋・不随意筋)(やや複雑です)
心臓にのみ見られる心筋は、体全体に血液を送り出す役割を果たしています。心筋組織は意識的に制御することができないので、不随意筋に分類されます。ホルモンと脳からの信号が心筋の収縮率を調整ています。心臓の自然なペースメーカーは、他の心筋細胞を刺激して収縮させる心筋組織でできています。その自己刺激のために、心筋は自己律動的に制御されていると考えられています。
心筋組織の細胞は横紋筋になっています。光学顕微鏡で見ると、明るい縞と暗い縞があります。細胞内のタンパク質繊維の配置が、これらの明るいバンドと暗いバンドを引き起こします。縞模様は、内臓筋とは異なり、筋細胞が非常に強いことを示しています。
心筋の細胞は、介在板と呼ばれる特別な接合部によってしっかりと接続されています。介在版とは心筋細胞同士を連結させ、筋細線維の張力を細胞から細胞へと伝える装置です。介在版により心筋細胞同士でつながれ心筋線維とよばれる構造体となり、これらが縦に接合し細胞柱をつくります。この細胞柱は何回も分岐構造を有し、全体を網目状構造としています。この介在版と分岐構造によって、心筋細胞は生涯を通じて血液を送り出す高い圧力と緊張に耐えることができます。これらの機能は、電気化学信号を細胞から細胞へとすばやく拡散させ、心臓が1つの単位として鼓動できるようにするのにも役立ちます。
○骨格筋(横紋筋・随意筋)
骨格筋は、人体で唯一の随意筋組織であり、意識的に制御されています。人が意識的に行うすべての身体的行動(例えば、話す、歩く、書く)には骨格筋が必要です。骨格筋の機能は、筋肉が付着している骨に体の一部を近づけるように収縮します。ほとんどの骨格筋は関節を横切って2つの骨に付着しているため(二関節筋)、筋肉はこれらの骨の一部を互いに近づける働きをします。
骨格筋細胞は、多くの小さな前駆細胞が集まって、長く真っ直ぐな多核繊維から形成されます。心筋と同じように横紋筋であるこれらの骨格筋線維は非常に強力です。骨格筋の名前は、これらの筋肉が少なくとも1か所、骨格に接続しているという事実に由来しています。
筋膜リリースで主にターゲットとしているのは、この骨格筋です。内臓筋に対するアプローチが迷走神経を活性化させるという研究もあるので、内臓筋もじゅうようではあるのですが、まずは骨格筋に対する理解とアプローチ方法を学ぶ事をおすすめします。
○骨格筋の肉眼解剖学と運動学
ほとんどの骨格筋は、腱を介して2つの骨に付着しています。腱は密な規則的な結合組織の丈夫な帯であり、その強力なコラーゲン繊維が筋肉を骨にしっかりと付着させます。腱は、筋肉が引っ張るときに極度のストレスを受けるため、非常に強く、筋肉と骨の両方の覆いに織り込まれています。
筋肉は、脳からの命令によって収縮する事で、長さを短くしたり、腱を引っ張ったり、骨を互いに近づけたりする動きをします。骨の1つは、静止したままのもう1つの骨に向かって引っ張られます。腱を介して筋肉に接続されている静止した骨の場所は、起始と呼ばれます。腱を介して筋肉に接続されている動く骨の場所は、停止と呼ばれます。停止が起始に近づく動きが基本的な動作になりますが、固定点が変わることで、それが逆転します。例えば、力こぶの筋肉(上腕二頭筋)は、肩から前腕に付着するため、前腕を方に近づける動き(肘を曲げる動き)をしますが、鉄棒などに捕まった状態で、固定点が手にると、肩が肘に近づく動きとなります。よって、停止が起始に近づくのではなく、浮遊点が固定点に近づくという理解が望ましいです。筋肉の中間部は、実際の収縮を行う肉質な部分です。
○骨格筋の名前の由来
骨格筋は、その位置、起点と停止、起点の数、形状、サイズ、方向、機能など、さまざまな要因に基づいて名前が付けられています。
多くの筋肉は、その解剖学的領域に由来する名前です。たとえば、腹直筋と腹横筋は腹部に見られます。腹部に縦方向についている為、腹直筋です。腹横筋は腹部に付着する筋で、筋繊維の方向が横のため、腹横筋です。
前脛骨筋のようないくつかの筋肉は、それらが付着している骨の部分(脛骨の前部)にちなんで名付けられています。他の筋肉は、腕橈骨筋のように、領域(上腕)と骨(橈骨)にちなんで名付けられています。
起始と停止。一部の筋肉は、静止した骨(起点)と移動する骨(挿入)への接続に基づいて名前が付けられています。
これらの筋肉は、それらが付着している骨の名前がわかれば、非常に簡単に識別できるようになります。このタイプの筋肉の例には、胸鎖乳突筋(胸骨と鎖骨を頭蓋骨の乳様突起に接続する)および後頭前頭筋(後頭骨を前頭骨に接続する)が含まれます。
起始の数。一部の筋肉は、複数の骨または骨の複数の場所に接続しているため、複数の起始があります。2つの起始を持つ筋肉は二頭筋と呼ばれます。上腕にある起始を2つもつ筋肉は力こぶの筋肉で、上腕二頭筋と呼ばれます。二の腕にある筋肉は起始が3か所の為、上腕三頭筋とです。
4つの起源を持つ筋肉は、ももの前にある筋肉で、大腿四頭筋です。
その他、形状、サイズ、および方向でも名前が付けられています。
たとえば、肩の筋肉である三角筋は三角形の形状をしていることが由来です。前鋸筋はのこぎり状のような形をしていることが由来です。大菱形筋はひし形なのが由来です。
また、筋肉のサイズは、同じ領域にある2つの筋肉を区別するために使用できます。お尻の領域には、サイズによって区別される3つの筋肉が含まれています。一番大きな大殿筋、一番小さな小殿筋、その中くらいの大きさの中殿筋です。最後に、筋線維が走る方向を使用して、筋肉を識別することができます。腹部には、幅が広く平らな筋肉がいくつかあります。繊維が真っ直ぐ上下に走る筋肉は腹直筋です、横方向(左から右)に走っているのは腹横筋で、斜めに走っているのは腹斜筋です。
まだあります。筋肉は、実行する機能の種類によって分類されることがあります。前腕のほとんどの筋肉は、同じ領域にあり、形状とサイズが似ているため、機能に基づいて名前が付けられています。たとえば、前腕の屈筋群は手首と指を曲げます。手首を橈骨側に向け、手首を屈曲させる筋肉は、橈側手根屈筋と言い、距離が長い方を、長橈側手根屈筋、短い方を短橈側手根屈筋と言います。手首を回外させる筋肉は、回外筋と言います。脚には、内転筋と呼ばれる筋肉があり、その役割は脚を内転することです。
○骨格筋の共同活動
骨格筋が単独で機能して体の動きを実現することはめったにありません。多くの場合、筋肉はグループで作業して複雑で正確な動きを生み出します。
体の特定の動きを生み出す筋肉は、主動作筋と言います。主動作筋は反対の動作を生み出す拮抗筋とペアになります。たとえば、上腕三頭筋は肘で腕を伸ばします。この動きの拮抗筋として、上腕二頭筋は肘を曲げる作用を持ちます。上腕三頭筋が肘を伸ばしているとき、上腕二頭筋は拮抗筋と見なされます。
主動作筋‐拮抗筋のペアに加えて、他の筋肉が主動作筋の動きをサポートするように働きます。それを協力筋と言います。協力筋は、動きを安定させ、無関係な動きを減らすのに役立つ筋肉です。それらは通常、主動作筋の近くの領域に見られ、同じ骨に接続することがよくあります。主動作筋は停止部を動かない起始部に近づけるため、協力筋は原点を安定させて動きを助けたりなどの働きをします。腕で重いものを持ち上げると、体幹部の協力筋が体を直立させて動かないようにし、持ち上げている間バランスを保ちます。その共同活動は足や首などでも起こります。つまり、動作を分別して考えるだけでなく、共同的に働いている部位を見極める必要があるのです。筋膜リリース資格入門講座では、身体を部位ごとに診たてますが、筋膜リリーススペシャリスト資格講座では、身体全体を一つのシステムと診たて、全ての動作で共同して働く「伝達系」‐【5つのロコモティブ-トランスミッション-システム】の機能を評価し、【5つの機能テスト】と特殊な方法で問題部位を検知し、筋膜リリースを行います。
○骨格筋組織学
骨格筋線維は、その高度に特殊化された機能のために、体の他の組織とは劇的に異なります。筋線維を構成する細胞小器官の多くは、このタイプの細胞に特有のものです。
筋鞘は筋線維の細胞膜です。筋鞘は、筋細胞を刺激する電気化学的信号の導体として機能します。筋鞘に接続されているのは、これらの電気化学的信号を筋線維の中央に運ぶのに役立つ横行小管(T-tubules)です。筋小胞体は、筋収縮に不可欠なカルシウムイオン(Ca2 +)の貯蔵施設として機能します。細胞の「エネルギ‐生産細胞」であるミトコンドリアは、糖を分解し、ATP(アデノシン三リン酸-力の源)の形で活動的な筋肉にエネルギーを提供するために筋細胞に豊富に含まれています。筋線維の構造のほとんどは、細胞の収縮構造である筋原線維で構成されています。筋原繊維の中を見ると,長軸方向にきれいな周期構造を見ることができます。その周期構造はZ-Lineという区切りで分けられ、サルコメアと呼びます。
○サルコメア構造
サルコメアは、太いフィラメントと細いフィラメントの2種類のタンパク質繊維でできています。
太いフィラメントは、タンパク質-ミオシンの多くの結合ユニットでできています。ミオシンは、筋肉を収縮させるタンパク質です。
細いフィラメントはアクチン、トロポミオシン、トロポニンの3つのタンパク質から構成されています。
アクチンは、細いフィラメントの塊の大部分を構成する螺旋構造を形成します。アクチンには、筋収縮中にミオシンがアクチンに接続して移動することを可能にするミオシン結合部位が含まれています。
トロポミオシンは、アクチンを包み込み、アクチンのミオシン結合部位を覆う長いタンパク質繊維です。
トロポミオシンに非常に緊密に結合しているトロポニンは、筋収縮中にトロポミオシンをミオシン結合部位から遠ざけます。
○サルコメアの区画と体の硬さ
サルコメアには区画が存在し、Z帯、H帯、A帯、I帯があります。
太いアクチンフィラメントと細いミオシンフィラメントの一区画をZ帯と呼びます。太いアクチンフィラメントと細いミオシンフィラメントが重なる部位をA帯と呼び、細いミオシンフィラメントのみ存在する部位をI帯と呼びます。A帯(太いアクチンフィラメントと細いミオシンフィラメントの重なる部位)の中央部で、太いアクチンフィラメントのみ存在し、細いミオシンフィラメント(I帯)と重ならない部位をH帯と呼びます。
Z帯の長さが短くなった状態が一般的に言われる「体が硬い」状態です。
前屈した時に指先が床につかない状態です。臨床的に良く遭遇する「硬さ」には大きく2種類があります。Z帯が短くなってしまっている「構造性の硬さ」と、朝起きた時や疲労を抱えた時に、筋緊張が増加して、関節可動域が一時的に低下している状態の「神経性の硬さ」の2種類です。※中枢性疾患は除いています。
徒手筋膜リリースで改善出来るものは「神経性の硬さ」です。サルコメアが短くなった状態は徒手筋膜リリースでは改善出来ないと言われています。筋節ではなく、一部筋膜組織の硬さ(病的クロスブリッジ架橋結合)は徒手筋膜リリースで改善可能と言われています。
Z帯の改善方法等も筋膜リリース資格講座で伝えております。
○筋肉系生理学
筋肉組織の機能
筋肉系の主な機能は動きです。筋肉は、収縮して体の他の部分を動かす能力を持つ体の唯一の組織です。
運動の機能に関連しているのは、姿勢‐体の位置の維持です。筋肉はしばしば収縮して、動きを引き起こすのではなく、体を静止または特定の位置に保持します。体の姿勢に関与する筋肉は、抗重力筋と呼ばれ、体のすべての筋肉の中で最大の持久力を持っています。それらは、疲れることなく1日中体を支えます。
動きに関連する別の機能は、体内の物質の動きです。心臓と内臓の筋肉は、主に血液や食物などの物質を体のある部分から別の部分に輸送する役割を果たします。
筋肉組織の最終的な機能は、体温の発生です。収縮する筋肉の高い代謝率の結果として、私たちの筋肉系は大量の排熱を生み出します。体内の多くの小さな筋肉の収縮は、私たちの自然な体温を生み出します。私たちが通常よりも力を発揮すると、余分な筋肉の収縮が体温の上昇につながり、最終的には発汗につながります。
○モーターユニット‐運動制御系
運動ニューロンと呼ばれる神経細胞が骨格筋を制御します。各運動ニューロンは、運動単位として知られているグループ内のいくつかの筋細胞を制御します。運動ニューロンが脳から信号を受信すると、運動単位内のすべての筋細胞を同時に刺激します。運動単位とは、一つの運動ニューロンが支配する筋繊維の事です。
運動単位のサイズは、筋肉の機能に応じて、異なります。目や指のような細かい動きをする筋肉 は、これらの構造に対する脳の制御の精度を向上させるために、運動単位に対して支配される筋繊維が非常に少なくなっています。脚や腕の筋肉のように、その機能を実行するために多くの力を必要とする筋肉は、運動単位に対して多くの筋繊維が支配されています。体が各筋肉の動きを制御できる理由の1つは、特定の機能に対して自動的にに運動単位の数を決定してくれている点です。これは、鉛筆を拾うのに使用されるのと同じ筋肉がボウリングの球を拾うのにも使用されますが、筋出力は全く異なります。例えば人から重そうな荷物を渡されそうになった時、その目の前の重そうな荷物を目にして、それに対して脳で反射的に「構え」が起こり、運動単位が活性化され、筋収縮が起こります。しかし、実際持った時に重くなかった場合、もしくは想像よりも重かった場合、身体のバランスを崩します。
外部環境を把握し、脳が自動的に運動単位の発火数を決定してくれているおかげで、スムーズな動きが実現されるのです。
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○収縮サイクル(難解な内容を出来るだけ簡潔化したのですが、専門用語が多く出てきますので、この章は飛ばしていただいてもOKです。大切な事は、筋収縮には神経伝達物質や、脳からの信号命令によって、筋収縮が起こっている点、つまり、身体の動く理由は神経伝達物質の移動によって起こっているという事です。)
筋肉は、運動ニューロンからの信号によって刺激されると収縮します。
運動ニューロンとは、骨格筋へ運動神経繊維を送る神経です。脳から脊髄までの運動ニューロンを上位運動ニューロン、脊髄から筋肉までの運動ニューロンを下位運動ニューロンと言います。上位運動ニューロンが障害を受けると、下位運動ニューロンにまで影響が及び、筋収縮に問題がでます。自己免疫疾患である筋委縮性側索硬化症は、その上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的に障害を受け、筋力低下や呼吸障害が進んでいってしまう難病指定の病態です。
下位運動ニューロンは脊髄から筋までの信号を届け、大型のα運動ニューロンと小型のγ運動ニューロンの2型に分かれます。α運動ニューロンのα運動繊維の信号は筋肉の収縮をおこし,γ運動繊維は筋肉内にある筋紡錘と呼ばれる張力受容器に送られ,そこで筋紡錘と呼ばれる特殊な筋繊維を支配します。
脊髄から伸びた運動ニューロンは、神経筋接合部(NMJ-neuromuscular junction)と呼ばれる点で筋細胞に接触します。
運動ニューロンは、運動終板として知られている筋鞘の特別な部分に結合する神経伝達物質であるアセチルコリンを神経筋接合部で放出します。
運動ニューロンの終板には、神経伝達物質に反応して開き、陽イオンが筋線維に入るのを可能にする多くのイオンチャネルが含まれています。陽イオンは電気化学的勾配を形成して細胞内に形成され、さらに多くのイオンチャネルを開くことによって筋鞘と横行小管全体に広がります。
陽イオンが筋小胞体に到達すると、Ca2 +イオンが放出され、筋原線維に流入します。Ca2 +イオンはトロポニンに結合し、トロポニン分子の形状を変化させ、トロポミオシンの近くの分子を動かします。トロポミオシンは、アクチン分子のミオシン結合部位から離れて移動し、アクチンとミオシンが結合できるようにします。
ATP分子は、太いフィラメントのミオシンタンパク質にエネルギーを供給して、細いフィラメントのアクチン分子を曲げたり引っ張ったりします。ミオシンタンパク質はボートのオールのように機能し、細いフィラメントをサルコメアの中心に近づけます。細いフィラメントが引き寄せられると、サルコメアは短くなり収縮します。筋線維の筋原線維は、連続した多くのサルコメアでできているため、すべてのサルコメアが収縮すると、筋細胞はそのサイズに比べて大きな力で短くなります。
筋肉は、神経伝達物質によって刺激されている限り、収縮を続けます。
運動ニューロンが神経伝達物質の放出を停止すると、収縮のプロセスが逆転します。カルシウムは筋小胞体に戻ります。トロポニンとトロポミオシンは休止位置に戻ります。アクチンとミオシンは結合を妨げられます。ミオシンがアクチンを引っ張る力が止まると、サルコメアは細長い静止状態に戻ります。
アクチンとミオシンの弱い結合が続いている状態が「凝り」です。エネルギーの供給が不足して、筋のATP濃度が 減少すると、筋は弛緩しなくなり、硬直状態(凝り)に陥ります。
脳からの誤った収縮命令が続き、オーバーワークになると、ATP濃度が減少します。そのオーバーワークはどこかをかばいった結果の代償であることが非常に多いです。
また、加齢や運動量の低下から、起こる加齢性筋萎縮症は後天的に「神経筋接合部」の形成不全を呈すろと研究で分かっており、それによる神経伝達の質-筋収縮の質-体の動かしやすさが低下してしまいます。
力-長さ張力関係
筋が収縮する際に発生する張力を、活動張力と言います。
活動張力は筋の長さが極端に小のときも、極端に大のときも小さくなります。その中間の長さで最大の張力を発生します。
肘関節で例えると、肘を完全に曲げ切った時や完全に伸ばし切った時よりも、その中間に位置する関節角度が一番力を発揮しやすいポジションとなります。筋の長さが長いときは、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが重なっている部分がほとんどなく、両者間に生じる架橋の数が小となり、力の発生が小さくなります。また、筋の長長さが極端に短いときは、アクチンとミオシンフィラメントが中央に入りすぎて互いに干渉するか、ミオシンフィラメントがZ帯にぶつかるため、力の発生が少なくなります。
○筋収縮の種類と役割
筋収縮には大きく2種類あり、等尺性収縮と等張性収縮です。
等尺性収縮は、関節運動を出さずに筋肉の張力を高める軽い収縮です。
ストレスなどが原因で体を緊張させるとき、無意識的に行っているのが、等尺性収縮です。物をもってその位置を保持することも、姿勢を維持することも、等尺性収縮の結果です。姿勢の歪みは等尺性収縮パターンの機能異常と言い換える事が出来ます。
動きを生み出す収縮は等張性収縮です。ウェイトリフティングによって筋肉量を発達させ、厚さを増やす為には等張性収縮が必要です。
筋肉の収縮状態-筋緊張は、骨格筋が常に部分的に収縮したままである自然な状態です。脳は姿勢の維持や筋肉や関節の損傷を防ぐために筋肉にわずかな張力を与えています。神経の損傷により筋肉が中枢神経系から切り離されていない限り、すべての筋肉は常にある程度の筋緊張を維持します。
筋緊張は動きを生み出すジェネレーターです。
その筋緊張が過度に強くなった状態を過緊張、一般的には凝りと言いわれるものです。
過緊張が続くと、酸欠状態などのSOSサインとして、発痛物質(ブラジキニンやプロスタグランジン)が生成され、脳に伝達されると痛みを感じます。それら筋の過緊張を原因とする痛みを「侵害受容性疼痛」と言います。
筋の過緊張が存在すると必ず痛みが強くなるわけではないという研究があり、臨床でも一致した見解を持っています。しかし、痛みが強く出ている部位は、必ず筋の過緊張が存在しています。
疼痛に関しては、その他神経障害性疼痛、心因性疼痛など様々な分類があります。
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○骨格筋線維の機能タイプ
骨格筋線維は、エネルギーの生成と使用方法に基づいて、タイプIとタイプIIの2つのタイプに分けることができます。
タイプIの繊維は非常に遅く、収縮が慎重に行われます。それらは、砂糖からエネルギーを生成するために好気性呼吸(酸素の消費を伴う細胞の呼吸です。嫌気呼吸に比べて等量の炭水化物から得られるATP量はかなり多い)を使用するため、疲労に対して非常に耐性があります。スタミナと姿勢のために、体全体の筋肉にタイプIの繊維が見られます。背骨と首の領域の近くでは、非常に高濃度のタイプI繊維が1日中、身体を支えてくれています。
タイプII線維は、タイプIIAとタイプIIBの2つのサブグループに分類されます。
タイプIIA線維は、タイプI線維よりも高速で強力ですが、耐久性はそれほど高くありません。タイプIIAの繊維は体全体に見られますが、特に脚には、力強い動きの生成と一日の歩行や立位で体を支える働きがあります。
タイプIIB線維は、タイプII Aよりもさらに高速で強力ですが、耐久性はさらに低くなります。タイプIIBの繊維は、酸素貯蔵色素であるミオグロビンがないため、タイプIおよびタイプIIAよりも色がはるかに薄いです。その為白筋と呼ばれます。タイプIIBの繊維は体全体に見られますが、特に上半身では、スタミナが少ない代わりに、腕と胸に瞬発性とパワーを与えています。
○筋肉の代謝と倦怠感
筋肉は、筋肉が働いている状況に応じて、さまざまな方法でエネルギーを取得します。筋肉は、低から中程度の力を生成するように要求するときに、好気性呼吸を使用します。好気性呼吸は、酸素を必要とし、ブドウ糖の分子から約36-38のATP分子を生成します。
好気性呼吸は非常に効率的であり、筋肉が収縮し続けるのに十分な量の酸素とブドウ糖を受け取る限り継続することができます。
高レベルの筋収縮を生み出すと血管が圧迫され、酸素を運ぶ血液が筋肉に入りづらくなります。この状態により、筋肉は嫌気性呼吸の一種である乳酸発酵を使用してエネルギーを生成します。嫌気性呼吸は、好気性呼吸よりもはるかに効率が低く、グルコースの各分子に対して2つのATPしか生成されません。
筋肉を長期間機能させるために、筋繊維にはいくつかの重要なエネルギー分子が含まれています。筋肉に見られる赤い色素であるミオグロビンは鉄を含み、血液中のヘモグロビンと同じように酸素を蓄えます。
ミオグロビンからの酸素は、酸素がない状態でも筋肉が好気性呼吸を続けることを可能にしてくれています。
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筋肉の働きを維持するのに役立つ別の化学物質は、クレアチンリン酸です。筋肉はATPの形でエネルギーを使用し、ATPをADP(アデノシン二リン酸)に変換してそのエネルギー貯蔵の場所を移動させます。
クレアチンリン酸は、そのリン酸基をADPに提供し、筋肉に余分なエネルギーを供給するためにATPに戻します。最後に、筋線維には、多くの結合したブドウ糖からなる大きな高分子であるエネルギー貯蔵グリコーゲンが含まれています。活動的な筋肉は、グリコーゲン分子からブドウ糖を分解して、内部の燃料供給を提供します。
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好気性呼吸または嫌気性呼吸のいずれかで筋肉のエネルギーが不足すると、筋肉はすぐに疲れて収縮する能力を失います。この状態は筋肉疲労として知られています。疲労した筋肉には、酸素、ブドウ糖、ATPがほとんど含まれていません。そして、乳酸やADPなどの嫌気性呼吸からの老廃物が多く含まれています。
体は、運動後に余分な酸素を取り入れて、筋線維のミオグロビンに蓄積された酸素を補充し、細胞内のエネルギー供給を再構築する好気性呼吸に電力を供給する必要があります。酸素負荷(または回復酸素摂取量)は、筋細胞を静止状態に戻すために体が取り入れなければならない余分な酸素の名前です。これは、激しい活動の後、数分間息が切れたと感じる状態がそれです。体は通常の状態に戻ろうとしています。
呼吸の筋疲労、筋収縮は切っても切れない関係にあるのです。
これらが筋肉に対する生理学の全体像です。最初はとても複雑だと思うのですが、筋膜リリース資格講座-IASTM資格講座を通してこれらの内容の復習してゆきますので大丈夫です(^^♪
生理学的、理論的に筋膜リリースをしっかり学びたい方は是非「日本IASTM協会」の講座を取ってみてください♪
上記が理解できれば、筋肉の機能解剖学を効率的にを学べるようになっていきます。
ご自身で身体を動かしながらどういった言葉がその動作を示すのかを練習してみると覚えやすいです
関節運動の言葉は暗記するものではなく使っていくうちに段々と覚えていくものとなります筋膜リリース資格講座を通してだんだんと覚えていくという過程を踏んでいただければ幸いです。
「全て暗記してからでないとセミナー参加が不安」などと思わなくて大丈夫です♪
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